NAGOYA

CITY

KAKUOZAN LARDER

「好き」を熱源に、
アップデートし続けるバーガースタンド。

飲食だけじゃない、
カルチャー発信源としての店づくり。

名古屋・覚王山に店を構える「KAKUOZAN LARDER」は、NIWA&レイコ夫妻が2013年に立ち上げたハンバーガースタンド。 共に大手レコード店に勤めた経歴があり、NIWAさんはバンド活動の経験もある。音楽に傾倒していた二人は、NYに訪れた際にそこで体験した音楽以外のそれを取り巻く街のムードやそこに根ざすフードカルチャーを自分たちなりの表現で飲食店として名古屋に出店するイメージを膨らませた。

店を始めるにあたって、それぞれ異なる飲食店でアルバイトを重ね、猛スピードで現場経験を積んだ。初めはコーヒースタンドをイメージしていたが、バーガーやチキンオーバーライスが人気となり、現在の営業形態へ。OPEN当初は、店内イベントやPOP UPなども多数開催。海外出店や大型野外フェス出店にも挑戦してきた。


常に自分たちの「好きなもの・こと・ひと」に自らが夢中になって形にし続けるNIWAさんは、料理や空間作りだけでなく、店のオリジナルグッズもデザインするなど、何でも自分でやってしまうインディペンデントを地で行く人物。 「もともとはエクセルを使ってデザインしてました。デジタルなのにやり方はアナログです」と笑う。音楽好きならわかる人にはわかる組み合わせでデザインに落とし込んだり、架空の台湾マッサージ店のお土産を妄想してみたり。ウィットに富んだアイデアをセンスとスピードで次々と形にしてきたグッズは、全国からオーダーが入るほど人気に。個人の飲食店が物販でアプローチするスタイルをいち早く確立したと言えるだろう。

次々と湧き出るアイデアを形にしてきた二人。常にワークハードなNIWAさん(写真左)をにこやかに支えるレイコさん(写真右)

飲食から寝食まで!? 
広がる次なるアイデアとは。

そんなNIWAさんが描くこれからのビジョンが気になった。「朝にコーヒーを飲み、夜には食や音楽を楽しみ、そのまま泊まって翌朝また朝ごはんを味わう――そんな滞在型の空間が、飲食の延長線上にある“ひとつのゴール”なのかもしれない」という。


この新たな構想が膨らんだきっかけは、覚王山にある歴史的建築物「揚輝荘」でイベントを開催することになり、足を踏み入れたことだったそう。これまで一度も訪れたことがなかったこの場所に強く惹かれ、改めてこの地域の魅力を再認識した二人は「覚王山に泊まれる良いホテルがあれば良いのに」とイメージが湧いてきたという。「そんなホテルの一角に、小さなLARDERを作って、そこで過ごす人たちの姿をぼーっと見ていられたら、最高に幸せ」と言いながら、NIWAさんは穏やかな笑みを浮かべた。

  • バンズをひっくり返して、直接鉄板で焼き上げる「UPSETTER」は、新レギュラーメニュー。エスカルゴバター、パティの肉汁、チーズの旨味が溶け合いバンズに染み込み、食材の美味しさと香ばしさが凝縮された新感覚バーガー(写真左)。そして、もう一つの不動の人気メニュー「チキンオーバーライス」もオススメ!(写真右)。

  • トイレのドアやサボテンの陰など至る所に、かわいいイラストやアーティストの作品が点在。

  • 「KAKUOZAN LARDER」の人気は料理だけじゃない。グッズはNIWAさんオリジナルデザインのものから作家とのコラボ作まで。常にラインナップが更新される。WEB SHOPで完売している商品も店頭には残っていてラッキー!なんてことも。

  • 元々はNYの影響で始まった「KAKUOZAN LARDER」だが、台湾からの影響も色濃い。取材当日NIWAさんが着用していたのは、台南の写真家・謝欣曄が捉えた夜の風景写真をデザインに落とし込んだ「台南熱夜 TAINAN HOT NITE Tee」。

  • 東別院の「EARLY BIRDS BREAKFAST」と毎年森道市場に出店する際の屋号「SNEAKS」。そのオリジナルのクラフトビールが登場。

  • 「KAKUOZAN LARDER」は、これまでに2回リニューアルを行っており、その度に外装もチェンジしている。店ごと、まるで生き物のように進化・成長していく。

  • 店内イベント開催時の様子。いつも人で溢れかえる盛況ぶりで、ハズレなし!

  • NIWAさんの次なる展望、ホテル構想のきっかけとなった覚王山「揚輝荘」での主催イベント「RUSSEL」の様子。こちらのイベントにも普段この場所に訪れたことのない方も多数来場。地域の隠れた魅力発信に貢献した。

Photo:SHIORI IKENO
Interview, Text & Edit:TAKATOSHI TAKEBE (LIVERARY)

GUIDE

武部敬俊

武部敬俊

TAKATOSHI TAKEBE (LIVERARY)

バンドマン時代からキレキレのセンスを発揮していたNIWAさんは、どこかパンクで、だけどファニーな人です。


編集者。1983年生まれ。これまでさまざまな編集プロダクション、出版社に勤務し編集ノウハウを学ぶ。2013年よりWebマガジン『LIVERARY』を仲間たちとともに始動し、名古屋を拠点にカルチャートピックを日々発信・提案し続けている。メディアの編集・運営のほか、イベントの企画制作、ショップのプロデュース、広告物や物販のグラフィックデザイン、アートワークまでを手掛け、広義における編集者として活動中。2025年、新しい視点を持ったカルチャーシティガイド『YOUR CITY IS GOOD』に、企画・編集として参加。

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