NAGOYA

CITY

FEATURE

LicaxxxとTOMMYと巡った、
音楽好きが集う店。

旨い料理、楽しい酒。欠かせないのは、良い音楽♪
「FAM」「ZEZE」「NORMAL」(千種〜池下エリア)を紹介。

東京を拠点に様々なシーンで活躍するLicaxxxとTOMMY。どちらも音楽愛を軸に、他ジャンルにおいてもマルチな才能を発揮していることで知られている。そんな二人を連れて名古屋を案内するならどこだろう.。


今回「YOUR CITY IS GOOD?」編集部のエディター・武部が選んだのは、音楽好きが集う3つのショップ。ガイド役には、名古屋在住でDJ YoshimRIOTとして活躍中のヨシムラユリコ(以下、ユリコ)を抜擢。

INDEX

「今日紹介する3店は、よく行くお店なので自信を持って紹介できます。しかも、ほぼ同じエリアに点在しているので、自転車でもクルクル巡れちゃいます」(ユリコ)


颯爽と自転車で現れたユリコとともに、まず初めに訪れたのはこちら!

Photo:SHIORI IKENO
Interview, Text & Edit:TAKATOSHI TAKEBE (LIVERARY)

写真左からLicaxxx、ユリコ、TOMMY。

01 : hair&music parlour FAM

レコードを介し、音楽の魅力を改めて実感。

閑静な住宅街の中に突如現れる、二階建ての建物。1階は中古レコード店、2階は美容院という珍しい営業形態の「hair&music parlour  FAM」。


同店は、名古屋エリアの某大手中古レコード店に勤務していたtonさんと元同僚の若林さんが2023年に独立開業した(2階の美容院は、tonさんの奥さんの店)。


「FAM」は、店名に「Parlour(パーラー)」という単語を冠しており、店のホームページにはその理由が綴られている。「Parlourには、「人が集まって、座って話したり、リラックスしたりできる部屋」という意味があるのだそう。「気心知れた街のパーラーで、束の間のひとときを」という素敵なコピーも添えられている。


この言葉の通り、「FAM」では単にレコードを販売するだけではなく、お客さんも選曲者として参加できるインストアDJイベント「FOR A MOMENT」を毎週木曜に開催。ホームパーティーのような和気藹々とした雰囲気で、お酒を片手にお互いのレコードを聴き合う、試聴会のようなイベントだ。

「FOR A MOMENT」開催時の様子。ちなみに店名のFAMはこの言葉の頭文字を取っている。(写真:FAMのInstagramより)

「レコードカルチャーの敷居を下げながら、その奥深さを伝えていきたい」と語る店主・tonさん自身も、DJとして長年に渡って活躍してきた人物。自然と“DJあるある”な話に花が咲く。

tonさん(写真中央)を囲み、店頭で話し込むDJ4名。

  • ton

    今日はどうして名古屋にいらっしゃったんです?


  • TOMMY

    実は今夜、「内田橋商店街」という商店街で祭りがあって、そこに出演するDJクルーとして、LIVERARYに呼んでもらったんです。

  • ton

    そうなんですね。この時期の屋外イベントでDJって大変だよね。

  • Licaxxx

    そうそう。特に夏なんかは日差しも強いし、熱でレコードがやられちゃうことも。

  • TOMMY

    自分はレコードDJじゃないけど、ブースが熱いのはきついっすね。

  • ユリコ

    あと、風で砂が飛んできて、それが原因でレコードに傷がついてしまったりもしますよね。

  • ton

    僕が個人的な趣味で力を入れてるコーナーが、アフリカ・ザンビアの「ザムロック」というジャンルで……。

    アフリカの古いレコードなんで、まさに砂でやられちゃってて、まともに聴ける状態のものが全然出てこないんですよね(笑)。

FAMは日本でも数少ないアフリカ音楽のレコードを取り扱っている、とても貴重な存在。

  • 武部

    tonさんは、なんで「ザムロック」の世界にハマったんですか?

  • ton

    正確なきっかけは忘れてしまいましたが、当時世界各国のサイケデリックな音楽を探すことに明け暮れていて、その流れでザンビアに辿り着いた感じです。

    僕が熱心にZamrockを掘っていた頃はまだ今ほどリイシュー盤が出ておらず、YouTubeにすら音源がないタイトルが多くありました。こんなにも様々な情報が溢れる世の中で、1970年代当時のボロボロのレコードを手に入れるしか聴く手段のない音楽。その困難さは僕にとってとても魅力的でした。

  • 武部

    値段もかなり高額なんですね!びっくりしました。

  • ton

    針飛びとノイズでまともに再生できないボロ雑巾のようなレコードに、妻にも言えない金額を支払ったこともあります(笑)。そうして手に入れたレコードも、その内容を自分が気に入るかは実際に聴いてみるまでは分かりません。でもそうする以外に聴くことができない、というところに僕は価値を見出してしまった。僕以外に価値のないレコードとも言えます(笑)。

  • 武部

    フェスでのDJ出演の苦労話から、まさかアフリカ・ザンビアのレコードの話につながるとは!(笑)

  • ユリコ

    ちなみに、私の好きなニューウェイブのレコードも多く取り扱われてて、いつもどっさりと買ってしまいます。あと、レコード一枚一枚に付いている手書きPOPにはいつもクスリとさせられます(笑)。

  • ton

    これなんか面白いよ。

おもむろに取り出された一枚のレコードのPOPに釘付けの3人。

<こちらがPOPに書かれていたコメント>


「仁義入り」とかオマケみたいに謙虚なこと言ってますが、このレコードには仁義しか入っていません。主成分、仁義です。 高倉健、菅原文太、渡哲也、石原裕次郎、鶴田浩二などなど、 昭和の任侠映画を彩った面々が勢揃い。 マニアの方、任侠コンディションですが、昭和マニアの方、任侠 マニアの方、仁義不足の方、本職の方、いかがでしょうか?

  • ton

    これ、レコードの状態もめちゃくちゃ傷だらけで、「任侠コンディション」としてます(笑)。

  • TOMMY

    やばい!記念に買って帰ります。

📍 店舗の紹介記事はこちら

02 : ZEZE

心を整えてくれる、絶品料理の数々。

和・洋だけでなく、中東やアジアなど多国籍な料理を振る舞う「ZEZE」。店名は「膳所=食を整える場所」という意味合いを持つ言葉から引用したのだそう。駅から少し離れた静かな立地を選んだことも、そのコンセプトにも通ずる。気の知れたアーティスト仲間から、近所に住む常連の老夫婦、出張中の会社員……と様々な人種が自然体で入り混じる、居心地の良い空気が保たれている場所だ。


店主は、自身の作曲活動をはじめアーティストへの楽曲提供やライブ/DJ活動を通して独自の世界観を築くコンポーザー・RAMZAさん。そして、京都の「ANTIBODIES Collective」への参加や「化ける身」といったユニットでも活動するコンテンポラリーダンサー・田辺舞さんの夫婦。それぞれの活動を続けながら、2022年にこの店を立ち上げた。

写真左から、田辺舞さん、RAMZAさん。共に表現活動を続けながら、2022年飲食店「ZEZE」を開業。

  • Licaxxx

    RAMZAさんとはイベントで共演したことはあったんですが、こんな素敵なお店を出されてたなんてびっくりです!

  • TOMMY

    僕も噂は聞いてたんですが、ようやく今日来れました!

    あの〜着いて早々すみません。ハイボール一杯ください!

  • 田辺

    はい!(笑)

  • ユリコ

    ここのオススメはいろいろあるんですが、私はおつまみなら「ささみの山椒油和え」、パスタなら「RAMZAのジェノベーゼ」が好きでいつも頼んじゃいますね。

  • 武部

    僕もどれもオススメなんですが、「前菜の盛り合わせ」は、いろいろ食べることができるので、特にオススメです。まずこのメニューを頼んでもらえたら、ZEZEの魅力は一発で伝わるはず。

  • 7種以上の料理を少しずつ食べられる「前菜盛り合わせ」は「ZEZE」の人気メニュー。

  • ユリコ一推しの「RAMZAのジェノベーぜ」。「バジルやオリーブオイル、ニンニクなど最低限の素材でシンプルに仕上げることで香りが際立つんです」(RAMZA)。

  • TOMMY

    やばい!本当にどの料理も素晴らしく美味しいです!

  • Licaxxx

    こういう落ち着いた雰囲気で、リーズナブルに美味しい料理を楽しめる飲食店って、東京だと逆にないかも。

  • TOMMY

    すみません!もう一杯ハイボールください!

  • 武部

    え、早っ!でもここのハイボールは、なんか美味しくて、どんどん飲んじゃうのわかります。このあとももう一軒行くけど、大丈夫!?(笑)

他にもクラフトジンやメスカルにも力を入れているので、お試しあれ。

「オススメの飲み方は、オレンジなどの果実系のジュースで割って飲むと飲みやすいし、うちの料理にも合うと思います」(RAMZA)

📍 店舗の紹介記事はこちら

「ZEZE」でお腹も心も満たした一行。この日、最後に向かったのは……。

ユリコもDJブースに立つこともしばしば。名古屋のローカルDJたちが夜な夜な集うのがココ。

03 : Sound Bar NORMAL

平日から、音好きたちが集う社交場。

全国のクラブミュージックファンから愛される、名古屋の老舗クラブ「club MAGO」とのその系列店「live&lounnge Vio」にて15年間店長を務めた木澤智さんが、2021年にOPENさせたDJバー「NORMAL」。


特筆すべきはその営業日数。平日もほぼ毎日のように誰かしらDJが来て選曲をしたり、イベントが開催されている。名古屋にはもちろん若者たちが朝までハイテンションで遊んでいるクラブもあるが、そういった遊び方ではない、ちゃんといい音で音楽と酒を楽しみたいなら「NORMAL」をオススメする。

写真手前に写っているスピーカーは、ドイツの「アヴァンギャルド」というメーカーのもので、室内オーディオの名機。会話の邪魔をしない、心地良い音質だ。

  • ユリコ

    NORMALは私よりも若い20代のDJたちも年上の50代世代の先輩DJたちも歳とか関係なく集まってるイメージで、そういう意味で重要なカルチャースポットだと思ってて。ハウスミュージックを中心に、平日から様々なパーティーが開催されています。

  • 武部

    本当に毎日のようにイベントやってて大変そう(笑)。

  • 木澤

    いや〜でもやっぱり普通にバーをやっているよりも、誰かDJが来てくれた方が楽しいし。平日の夜も遊びたい人たちもいて、その人たちの受け皿になるような場所が(名古屋には)ないなってのは正直思っていたんで。そういう人たちは世の中的には遊び過ぎ!って思われるかもしれないけど、それもその人にとっては「普通」だよねってことで、「NORMAL」っていう店名にした経緯があります。

  • TOMMY

    僕もここでDJやらせてもらった経験がありますが、あの日もやばかったです。名古屋盛り上がってるな〜って思いましたね。平日でもこういう遊び場がちゃんと選択肢にあるっていいことですよね。

  • 木澤

    そうそう。さらに言えば、もっとみんな平日から遊んでほしいっていう思いもあります。そうすることでクラブシーン全体のお客さんが増えることになるだろうし、その分イベントが重なる週末ももっと盛り上がるだろうなって。

  • ユリコ

    ちなみに、最近、地下に「OK」っていう名前のカラオケバーもOPENしたんです。私もそこで週一で働かせてもらってて。

  • TOMMY

    はい、武部さんから伺ってます。そこも行ってみたいなって思ってました。

  • 木澤

    二人は今日はこのあと「内田橋」のお祭りでDJなんだよね? また今度ぜひプライベートでも遊びに来てほしいし、9月がちょうどうちの店が周年を迎えるんで、TOMMYくん盛り上げに来てよ(笑)。

  • 武部

    9月だとこの辺一帯の町内で「今池祭り」っていうかなり盛り上がるお祭りがあるんで、そのタイミングで来たら祭りも参加できて楽しいかもよ!

  • TOMMY

    え、また商店街の祭りに誘われた!(笑)

  • Licaxxx

    名古屋の人たち、どんだけ祭り好きなんすか!(笑)

※この記事は2025年6月5日に取材・撮影されたものです

店主との楽しい会話が続き、あっという間に時間は過ぎ去っていく。

📍 店舗の紹介記事はこちら

昼から夜まで、音楽も食も存分に楽しんだ一行。あなたもぜひこのルートで遊んでみて!

ちなみに、祭り後の打ち上げでTOMMY君とバッチリ「KARAOKE OK」を盛り上げてきました(笑)。

GUEST

Licaxxx

Licaxxx

東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。2016年にBoiler Room Tokyoに出演した際の動画は60万回以上再生されており、Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、CIRCOLOCO@DC10 などヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUS、Anthony Naples、Max Greaf、Lapaluxらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。さらにジャイルス・ピーターソンにインスパイアされたビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。若い才能に焦点を当て、日本のローカルDJのレギュラー放送に加え、東京を訪れた世界中のローカルDJとの交流の場を目指している。また、アンビエントを基本としたファッションショーの音楽などを多数制作しており、近年ではWリーグの音楽プロデュース、yoshiokubo、Chika Kisadaのコレクションに使用されている。

奥冨直人/TOMMY

奥冨直人/TOMMY

BOY

渋谷区宇田川町にあるファッション/音楽をベースとしたコンセプトショップ・BOY ショップオーナー。2007年よりDJとして活動を開始し、これまでにFUJI ROCK FESTIVAL / SUMMER SONIC / RISING SUN ROCK FESTIVAL / 森、道、市場 / BAYCAMP / りんご音楽祭等の音楽フェスや、各地のライヴ・クラブハウス、アパレルブランドのイベント等多数出演。日々軽快なフットワークで全国を巡回中。ヘッドフォンを使用しないダイレクトでアクティヴなスタイルが特徴。オルタナティブ/時事/ストーリーを大切にした独自の選曲とフィジカルパフォーマンスを織りなす。

GUIDE

YoshimRIOT

YoshimRIOT

2013年にパーティークルーRIOT girlを名古屋にて立ち上げる。80’sのアンダーグラウンドなニューウェイブから骨太なシカゴハウスを中心にミックスする。ロンドン拠点のNTS、南アフリカ拠点のUBRFM、東京拠点のTSUBAKI FM等のショーへDJ MIXを提供し、国内外でDJ活動を行う。2025年9月自身の店「さけとおんがく エチュード」を開店。

武部敬俊

武部敬俊

「LIVERARY」/「YOURCITYISGOOD?」編集部

編集者。1983年生まれ。これまでさまざまな編集プロダクション、出版社に勤務し編集ノウハウを学ぶ。2013年よりWebマガジン『LIVERARY』を仲間たちとともに始動し、名古屋を拠点にカルチャートピックを日々発信・提案し続けている。メディアの編集・運営のほか、イベントの企画制作、ショップのプロデュース、広告物や物販のグラフィックデザイン、アートワークまでを手掛け、広義における編集者として活動中。2025年、新しい視点を持ったカルチャーシティガイド『YOUR CITY IS GOOD』に、企画・編集として参加。

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