カルチャー集積地「今池」という磁場。
大大大店主・吉村大地さんは、20代前半を大学進学をきっかけに関西で過ごした。バンドや芸術活動に明け暮れ、大学卒業後は造園屋の仕事に就いていた。だが、もともと「人が集う場所を作りたかった」という思いがあったという。その後、地元・名古屋に戻った大地さんが、長年の思いを具現化したのが今の大大大だ。
店を出す場所は、中心部ではなく「今池」という街を選んだ。老舗ライブハウスや映画館といった文化施設が集積し、個人店の飲み屋が多い土地性だからこその出会いがある。最近では新しい世代のカルチャーが持ち込まれ(NORMALやZEZEなどの存在も大きい)、若者たちが都市部から離れこのエリアに魅力を感じ回遊し始めている。
大大大もまた、音楽関係の知人らによる口コミやイベントなどを通じて、県外や海外など遠方からの客も多く訪れるクロスポイントとなっている。「厨房に立ちながら、本当に色々な人たちとここで会話ができて交流がある。だから9年も続けてきたけど全く飽きないですね」と大地さん。大大大という店自体が移動しているかのように、常に新しい風景を見せてくれるのだ。
取材当日、週末ということもあり店内は満席状態が続く。写真中央:ずっと料理を作り続ける店主・大地さん。
当たり前に料理が美味いことが重要。
「大大大」に様々な年代、アーティストから会社員まで多様な人々が集うもう一つの理由は、料理や酒に対する丁寧なこだわりにある。イタリアンレストランでの下積み経験もあることから、居酒屋メニュー以外にもピザやパスタもこの店の人気メニューだ。ピザの味を決める生地は特別な天然酵母から自家培養したものを使用し、一枚一枚オーダーが入ってから生地をこね、オーブンで焼いている。豊富なメニュー量に比例して、仕込みは膨大。決して効率的とは言えないが、「いろんなニーズに応えられるよう、メニューの質と量は大切にしたい」と大地さん。単にカルチャーの匂いがするだけでは、普通の人からしたら入りづらい店になってしまう。「あそこに行けば、美味い料理が食べられる」というシンプルな信頼が、この店に誰か連れて行きたくなる理由となっている。
「今、興味があることは、新しい学びや、仲間同士での協業が生まれるような場所。新しい学校「大大大學」を作りたい」と語る大地さん。すでに「大大大」自体が単なる居酒屋を超えた、新しいコミュニティ形成に一役を買う存在になりつつある。今後の展開にも期待したい。
Photo:RIKA KAWAI
Interview, Text & Edit:TAKATOSHI TAKEBE (LIVERARY)
INFORMATION
大大大
旨い料理と酒が生み出す、異文化交流点。
-
📍 名古屋市千種区今池1丁目6-13 今池スタービル1F
-
🕐 金:19:00〜1:00(L.O24:30)
🕐 土〜火曜:18:00〜1:00(L.O24:30)
(水・木曜定休)
-
Instagram :
@daidaidai_imaike
GUEST & GUIDE
奥冨直人 / TOMMY(BOY)
NAOTO OKUTOMI / TOMMY(BOY)
今池に来たら必ず寄っているお店。他にない見事な温かいカオス空間!
渋谷区宇田川町にあるファッション/音楽をベースとしたコンセプトショップ・BOY ショップオーナー。2007年よりDJとして活動を開始し、これまでにFUJI ROCK FESTIVAL / SUMMER SONIC / RISING SUN ROCK FESTIVAL / 森、道、市場 / BAYCAMP / りんご音楽祭等の音楽フェスや、各地のライヴ・クラブハウス、アパレルブランドのイベント等多数出演。日々軽快なフットワークで全国を巡回中。ヘッドフォンを使用しないダイレクトでアクティヴなスタイルが特徴。オルタナティブ/時事/ストーリーを大切にした独自の選曲とフィジカルパフォーマンスを織りなす。
-
Instagram :
@tommy_okutomi