FUKUOKA

CITY

UNION SODA

街の中心に開かれた
138㎡の余白。

誰のものでもない無二の空間。

天神駅から国体道路を大名方面へ歩いて約5分。大名の路地を入ったビルの2階に、「UNION SODA」はある。面積138㎡、天井高3.5m。可動式の壁が空間を自在に仕切り、アート展示にも音楽ライブにも、映画のトークイベントにも変貌する。いわゆるレンタルスペースだが、ただの貸しスペースではない。


名前の由来はブルックリンにあるバー兼スペース「UNION POOL」。代表の小寺史郎さんがそこで感じたのは、人種も年齢も職種も収入も関係なく、アイデンティティーを持った多様な人々が隔たりなく集まる空気だった。「誰のものでもない場所にしたい」という思いがそのままUNION SODAを構想するうえでの骨格となり、2016年にオープンした。

ここで起こる事象が
ひとりひとりの文化的背景に。

そのときどきの借主によって催される内容は多岐に及ぶが、2026年にオープン10周年を記念して企画・開催されたイベントの顔ぶれを見れば、この場所の性格がわかる。


映画監督・豊田利晃と俳優・窪塚洋介のトークイベント、俳優・仲野太賀とTVディレクター・上出遼平、写真家・阿部裕介による旅サークル「MIDNIGHT PIZZA CLUB」の展覧会、坂本慎太郎や真島昌利から楽曲提供を受けるアーティスト「る鹿」のライブ——ジャンルも客層も毎回まるで異なるが、そのどれもがこの空間でなければ成立しなかったような密度を持っている。


SNSがライフスタイルの教科書になりつつある時代。「UNION SODA」で起きることがひとりひとりの文化的背景になればいい、という小寺さんの思いが運営の原動力になっている。来るたびに違う顔を見せるこの場所が、何度でも足を運びたくなる理由でもある。


着席で約110名、スタンディングで約300名を収容できるこの空間には、コンサートホールでもギャラリーでもライブハウスでもない、中間的な自由さがある。アーティスト、デザイナー、学生、会社員、旅行者。初めて足を踏み入れる人も、何度も通っている人も、そのイベントさえなければ出会わなかったような人たちが、同じ場所に集まってくる。天神という福岡の中心地にありながら、ここだけ少し違う時間が流れている。そんな余白のある場所が、この街には必要なのだ。

  • 映画『次元を超える』の監督・豊田利晃と主演を務める俳優・窪塚洋介によるトークイベントの様子。

  • 俳優・仲野太賀とTVディレクター・上出遼平、写真家・阿部裕介による旅サークル「MIDNIGHT PIZZA CLUB」の展覧会。ネパール・カトマンズにある世界一美しいと言われるランタン谷で撮りためた写真作品の展示を中心に展示。

  • UNION SODA 10周年企画のラストとして企画された、る鹿とアコースティックギターデュオ、羊毛とおはなのギタリスト市川和則による特別なデュオライブ。

Photo:UNION SODA
Text:Yu Sakurai(TISSUE Inc.)
Edit:TISSUE Inc.
Edit & Direction:Takatoshi Takebe(LIVERARY)

GUIDE

桜井祐

桜井祐

TISSUE Inc.

「他の都市圏であれば満員必須のイベントが盛りだくさん!」


1983年、兵庫県生まれ。九州産業大学芸術学部准教授。「編集知を通じた媒介的芸術実践」をテーマに、学際研究プロジェクトの実施やアートプロジェクトのキュレーション、アーティスト作品の企画・編集ディレクションなどを行う。最近、第一種銃猟狩猟免許を取った。

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