日常に溶け込む、街の文化発信源。
渡辺通にある路地裏の一角。青いネオンライトが目印のガラス張りの店に、今日も多くの人が吸い込まれていく。「STEREO COFFEE」だ。1階のカフェスペースではコーヒーを中心としたドリンクと軽食が提供され、2階はギャラリースペースとして展示やマーケットが開かれる。店名はコーヒーショップのそれだが、中身はコーヒーだけに収まらない。そのことが店を取り巻く雰囲気からも感じ取れるに違いない。
オーナーの児玉太樹さんが社会人としての出発点に選んだのは、音楽とカルチャーが集まるダイニングレストランバー「STEREO」だった。同店で大学時代から働き、店長を経て、34歳のときには会社を継承することになったのだという。「社長になるという感覚よりも、好きな音楽や人との繋がりが生まれてきた場所を残したい、という気持ちのほうが強かった」児玉さんは当時をそう振り返る。
その後、2015年にSTEREO COFFEEをオープンし、続いてミュージックバー兼レコードストアの「LIVING STEREO」を立ち上げた。コロナ禍の2020年、出発の地であったSTEREOは惜しくも18年の歴史に幕を閉じたが、当時からの温度感と思いは、児玉さんを通じて福岡の街のあちこちに散りばめられたまま、今も続いている。
左がオーナーの児玉太樹さん、右が店長の吉野恭平さん。店の前のベンチでは、お客さん同士はもちろん、スタッフとお客さんが話している姿もよく見かける。
音を媒介に新たな交流が生まれる。
22歳でDJを始め、STEREOで働きながら月に何本もDJをこなす生活を送っていた児玉さんにとって、音楽と音響システムは常に身近なものだった。その経験が今の店づくりと空間デザインの骨格になっている。薬院に位置する「LIVING STEREO」では、さらに深く音と向き合えるサウンドシステムを構築し、「喫茶COTTY」など姉妹店も展開。キッチン、バー、ホール、DJとして積み上げてきたすべての経験を自ら現場で活かしながら、「まだしたことのない新しいことに挑戦し続けることが楽しい」と児玉さんは話す。
「福岡には小さい規模でも面白いことをしている人が沢山いる。このみんなが協力し合えるコミュニティの街で、新たな交流が生まれることがうれしい」と児玉さん。周年パーティーでは、福岡市内のコーヒーショップ店主たちを集めたDJイベントを開催するなど、音を媒介にして人と人が交わる場としても機能している。目的がなくても気軽に立ち寄ることができて、気づけば誰かと話し込んでいる。今日も「STEREO COFFEE」から、この街のリズムが生まれている。
Photo:Shintaro Yamanaka(Qyum!)
Interview, Text:yae
Edit:TISSUE Inc.
Edit & Direction:Takatoshi Takebe(LIVERARY)
INFORMATION
STEREO COFFEE STEREO COFFEE
街のリズムを、一杯に込めて。
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📍 福岡市中央区渡辺通3-8-3
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🕐 月〜金 10:00-20:00、土 9:00-21:00、日・祝 9:00-20:00
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📞 092-231-8854
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Instagram :
@stereo_coffee
渡辺通のカフェ&ギャラリー「STEREO COFFEE」。
DJ・児玉さんが2015年に開いた、
1階のコーヒーと2階の展示が交わる福岡カルチャー発信の場。
GUIDE
桜井祐
TISSUE Inc.
「2Fのスペースでは毎週さまざまなイベントやポップアップが行われている。街歩きに疲れたら、ふらりと立ち寄りたいお店」
1983年、兵庫県生まれ。九州産業大学芸術学部准教授。「編集知を通じた媒介的芸術実践」をテーマに、学際研究プロジェクトの実施やアートプロジェクトのキュレーション、アーティスト作品の企画・編集ディレクションなどを行う。最近、第一種銃猟狩猟免許を取った。