店主の人柄が垣間見える、
温かく、チャーミングな品々。
大須から徒歩圏内にある中区・松原は、戦後から花き市場(=全国の生産者から切り花や鉢物を集荷し、セリや相対取引を通じて花屋やスーパーマーケットへ卸売りする市場)が多く固まるエリア。深夜から早朝にかけて花屋が仕入れを終え、まちの活気が落ち着く頃、フラワーセンターの一角で「Hello open」と開店するのが「MATO OBJECTS STORE」だ。
ゆったりとした店内に集められているのは、飛騨高山「まる工芸」のオーバルボックス、アイヌの作家が製作したイタ(お盆)、木彫り熊、南米の民族が作る陶器など個性豊か。夫婦で店を営む的山大介さんにセレクト基準を尋ねると、「僕が本当に好きなもの。それを言葉にするのはすごく難しいんですけど、人の手を感じられるものやずっと続くものを選ばせてもらっています」。的山さんが関心をもつ民藝やフォークアートを中心に、古いも新しいも関係なく、さまざまなルートで買い付けられたラインナップには、「これは何ですか?」と思わず問いかけたくなるものもたくさん。的山さんからその背景やストーリーを聞きながら、かつてこれが誰かの生活の中で実際に使用されていたことをつい想像してしまう。一つひとつのものとの出会いが、買い物の時間を楽しくしてくれるはずだ。
建物両側のガラス戸から光が入る店内は、1950年代のドイツ・リンドナー社のデッドストック照明や階段をはじめ、ミントグリーンがアクセント。そこに、年月を重ねた味わい深い木工品、「TEMBEA」のバッグ、アートポスター、レジ後ろの私物コレクションなどが加わり、インテリアが空間にリズムを生む。
その場で見て感じる、
わざわざ訪れたくなる店作り。
セレクトショップとしての組み合わせの妙も「MATO OBJECTS STORE」の魅力。例えば、1988年のデイヴィッド・ホックニーのポップアートポスターの隣に、トライバルなものを並べたり、モダンな部屋にフォークアートを置いてみたり。かつて「BEAMS」で洋服を販売していた的山さんが、デザイナーズとオリジナル、きれいめとカジュアルをミックスしていたような延長線上の提案には、センスや遊び心がきらりと光る。
2階には、アートブックを取り扱う古書店「LIEBBOOKS」の選書も。「店主の牛田くんがうちの店に合わせてセレクトしてくれて、新しい出会いにもなるし、今ちょうど興味があるアーティストの作品集が届くこともあって面白いんですよ」と的山さん。
月に1度は企画展を開催し、自身が好きな作家の作品を国内外から迎え、MATOならではの編集された切り口が心をくすぐる。また、買い物だけでなく、1階のカウンターでドリンクを片手に過ごす時間も歓迎。名古屋を代表する「coffee Kajita」のブレンドを用意し、「買うものがなくても、ふらりと立ち寄ってみてほしい」という。ものと人、まちの空気がゆるやかに交わる時間がここにある。
Photo:TOMOYA MIURA
Interview & Text:MIKI MURASE(MAISONETTEinc.)
Edit:TAKATOSHI TAKEBE (LIVERARY)
INFORMATION
MATO OBJECTS STORE
古今東西の手仕事に触れ、ゆっくりと想いにふける時間。
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📍 名古屋市中区松原1-9-13 フラワーセンター東棟No12
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🕐 11:00 - 18:00 (水曜・不定休)
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instagram :
@mato_objects_store
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WEB :
https://matoobjectsstore.com/
GUIDE
黒田義隆
YOSHITAKA KURODA/ON READING
世界中のフォークアートにも出会える、幾たびにわくわくするお店。店主とのおしゃべりもたのしい。
『ON READING』店主、『ELVIS PRESS』代表。2006年に書店『YEBISU ART LABO FOR BOOKS』を、名古屋・伏見にオープン。2011年に名古屋・東山公園に移転し、bookshop & gallery『ON READING』としてリニューアル。様々なイベントや展覧会を企画するほか、出版も多数手がけている。
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instagram :
@on_reading